マルエフ vs スーパードライの違い – 味・成分・歴史で徹底比較

マルエフ（アサヒ生ビールの通称）とスーパードライは共に人気の高いビールですが、味わいや成分、背景にはいくつかの違いがあります。マルエフは1986年発売の伝説のビールの復刻版で、2021年の再発売当初は品薄となるほどの人気を博しました。
現在は生産体制も拡大されており、店頭でも比較的手に入りやすくなっています。これに対しスーパードライは1987年に誕生したキレの強い辛口ビールとして定番人気を博しています。本記事では両者の歴史や味わいの特徴、原材料・スペックの違いを詳しく比較し、選び方のポイントも紹介します。

マルエフとアサヒスーパードライの違い

開発背景とブランドコンセプトの違い

マルエフは、大阪麦酒（のちのアサヒビール）が長年温めてきた「伝説のビール」を復刻した商品です。1986年に商品化された際には、不死鳥（フェニックス）の名を冠し復活と幸運を願うコンセプトで開発されました。当時のアサヒは経営不振を脱するために起死回生の商品が求められており、マルエフはそのシンボル的存在でした。2018年と2021年の期間限定再発売時にも、不死鳥ロゴや「日本に、ぬくもりを。」のキャッチコピーで話題となり、あえて「まろやか」さを訴求するプロモーションが行われています。

一方、アサヒスーパードライは1987年の発売当初から別路線の辛口ビールとして世に出ました。「スーパードライ」の名前が示すとおり、苦味や雑味を抑えて炭酸感と爽快感を重視したキレのある味わいが特徴です。発売から現在に至るまで、食事や気分を盛り上げる辛口ビールとして定番化し、ビール業界に「ドライ戦争」をもたらすほどの大ヒットとなりました。

味わいと飲みごたえの違い

マルエフはその名の通り「まろやかさ」がウリで、口当たりがソフトで優しい味わいが特徴です。麦芽とホップ由来のコクやうまみがじんわりと広がり、のどにゆったり心地よい清涼感を残します。同時にしっかりと切れ味も感じられ、「コクがあるのにキレがある」というバランスがマルエフの魅力です。飲みやすさを重視しているため、ビール本来の芳醇な風味を楽しみながらもスッと体に染み込むようなやさしさがあります。

これに対し、スーパードライは辛口らしく口当たりのシャープさと刺激感が際立ちます。麦芽とホップの香ばしさやコクはしっかり感じるものの、アルコール度数5％の力強さで後味は非常にクリア。ビールの「ドンシャリ感」とも言われる高低差のある味わいで、後味に嫌な苦みが残りません。泡立ちはどちらもきめ細かいですが、スーパードライは特にキレが強くクリーミーな泡立ちとなり、飲みごたえの面ではより刺激的と言えます。

アルコール度数とカロリーの違い

アルコール度数やカロリーを見ると、マルエフのほうがやや控えめです。2024年までの現行製品ではマルエフが4.5％、スーパードライが5％となっており、これによる飲みごたえの差は微妙ですが飲み比べると感じられます。カロリーも100mlあたりマルエフが約41kcal、スーパードライが42kcalとわずかな違いがあります。しかし、2025年1月製造分からはマルエフのアルコール度数が5％に引き上げられる予定で、両者のスペック差はさらに小さくなります。

表からも分かるように、基本的なスペックにはほとんど差がありません。アルコール度数・カロリー・糖質などの数値はほぼ同じレベルです。 ★将来的な変更点としては、前述の通り2025年からマルエフのアルコール度数が5％になることが大きなトピックです。

マルエフの歴史と特徴

誕生の背景とコンセプト

マルエフはアサヒビール創業時期のレシピを現代によみがえらせたビールです。大阪麦酒時代（1900年）の商品設計を下敷きに、1986年に「復活と幸運」の象徴としてマルエフが発売されました。当時のアサヒは長引く低迷を払拭するため新機軸の開発に注力しており、マルエフはその集大成です。商品名は「不死鳥」（Phoenix）と「運」(Fortune)の頭文字を組み合わせたもので、パッケージにもフェニックスのイラストが配されています。

発売後、マルエフは古き良きビールらしい深いコクとソフトな飲み口でヒット商品となり、一躍人気ブランドとなりました。しかし翌1987年にはスーパードライが登場し、マルエフ以上のヒットを記録。1993年には缶製品の販売を終了し、一部の飲食店で供給される希少なビールとして生き残る流れとなりました。2018年には数量限定で封入されたのち、2021年9月にパッケージを一新して正式に再発売。ユーザーからの好評を背景に、現在は全国で購入できるようになっています。

味わいとリニューアル予定

マルエフの味わいは「まろやかでやさしいコク」が印象的です。グラスに注いだときの泡立ちは細かくクリーミーで、飲むと口当たりが柔らかく、苦みや刺激が少ない設計になっています。バランス重視のレシピで、麦芽由来のうまみがじんわり広がり、後味にはほんのりした甘みを感じます。甘さを控えめに仕上げることで冷やして飲んでもすっきり飲めるため、高い飲みやすさを実現しています。

また、アサヒ公式発表によれば、2025年1月製造分からマルエフの中味は改良され、発酵度を高めることで「コク」や「飲みごたえ」がより一層増すそうです。この改良ではアルコール分が4.5％から5％に変更される予定で、現行のまろやかさを維持しつつも後味のキレが強化されるとのことです。新しいマルエフも従来同様ぬくもりを感じるビールとして提供されることが期待されています。

スーパードライの歴史と特徴

誕生の経緯とキレのある味わい

スーパードライは1987年3月に発売され、「ドライビール」の新境地を開拓した商品です。それまでの日本のビールは苦味や重めの味わいが主流でしたが、アサヒは大規模な嗜好調査を踏まえて、炭酸感を強めて軽快な飲み口を追求。結果、従来のビールとは全く異なる辛口スタイルが完成しました。

発売直後から消費者の支持を集め、アサヒスーパードライは社会現象を巻き起こしました。発売のキャッチフレーズ「新ジャンルビール」や、瓶をグラスに注ぐCMなどで話題となり、瞬く間に全国的に普及しました。ビール市場で大きな反響を呼んだスーパードライは、日本国内で圧倒的シェアを獲得し続けており、現在でも多くのファンを抱えています。

キレのある飲みごたえと現在の人気

スーパードライの特徴は何と言っても「キレ味の良さ」です。冷やすほどに泡と液体がシャープに切れ、飲み終わった後に残る苦味や雑味は極めて少ない点が評価されています。グラスに注いだときの白い泡はきめ細かくクリーミーで、これもアサヒがこだわるポイントのひとつ。夏場などは特に冷たく冷やしたスーパードライが人気で、喉越しの爽快感を求める人に選ばれています。

発売から30年以上経過した現在でも、新ジャンル系の缶商品や生ジョッキ缶など、話題性のある商品展開が続けられています。定番商品の安心感に加え、限定品やイベントを通じて顧客を飽きさせない工夫がされているため、若い世代も含めて根強い人気を維持しています。スーパードライは古参ビールでありながら常に最前線に立つ革新的なブランドとも言えます。

マルエフとスーパードライの成分・スペック比較

アルコール度数・カロリーの比較

前項の表でも触れたように、マルエフとスーパードライの数値的な差は小さいものです。一般的な缶ビールの中ではアルコール度数5％前後が標準ですが、マルエフはやや低めの4.5％で発売されていました（※2025年1月製造分から5％に引き上げ予定）。カロリーや糖質もほぼ同等で、原材料に至っては両者とも麦芽・ホップ・米・コーン・スターチなど同じものが使われています。飲みごたえに関わる純アルコール量も缶1本あたりではほぼ同等です。

原材料・製造方法の違い

原材料面では上記のとおり同じ基礎素材を使用しており、大きな差はありません。しかし製造工程では多少の差があると見られます。マルエフは発売当時のレシピを再現しているため、特に酵母の醸成にこだわり、低温でじっくり発酵させることでまろやかさを出しています。また2025年からのリニューアルでは酵母の働きを活性化させて発酵度を高め、これまで以上のコクを引き出す方針です。

スーパードライは発売当初から速醸酵母を活用することで短期間でしっかり発酵させ、キレのあるクリアな味わいを実現してきました。アサヒが生産技術で培ったこの速醸方法により、添加するホップや麦芽の香りを素早く閉じ込めつつ、最後までスッキリとした飲み口を保てるのが特徴です。このように、マルエフは時間をかけて深い味わいを生み出すのに対し、スーパードライは効率重視で強い切れ味を生み出す点が両者の違いと言えます。

価格と入手状況の違い

2024年の時点では、マルエフは需要の高さから抽選販売や予約が取りづらいケースがありましたが、俗なプレミア価格はほとんどつかないようになっています。再発売以降は定期的に増産されているため、ネット通販や量販店で比較的手に入りやすくなりました。一方スーパードライは発売以来のロングセラーであるため、コンビニやスーパーなどで年間を通じ安定供給されています。

価格面では両者とも大容量ケース相当の定価はほぼ同じレベルです（メーカー品なので原則的な定価設定がほとんどありません）。実売価格も特売品を中心にほぼ横並びで推移しています。マルエフは話題性からまとめ買い需要が強い傾向にあり、20本前後のまとめ売りケースが中心となりますが、スーパードライは350ml缶・500ml缶それぞれ単品でも違和感ない流通があるのが特徴です。

どちらを選ぶ？マルエフ vs スーパードライ

マルエフに向く飲み方・シーン

マルエフはまろやかな口当たりを生かして、リラックスタイムや軽めの食事に合わせるのがおすすめです。以下のようなシーンでマルエフの魅力が引き立ちます。

• 仕事終わりやほっと一息つきたいとき、ゆったりと味わいたい場合
• 味の濃すぎない料理や和食、軽いおつまみとの相性を重視する場合
• アルコール度数控えめで、ビール初心者や家族団らんでビールを楽しみたいとき

マルエフのやさしい甘みとまろやかなコクは、食事中に食材の風味を邪魔せず、食卓を和ませてくれます。氷を入れたグラスに注ぐ氷出しも楽しめるなど、好みに合わせた飲み方の幅が広いのも魅力です。

スーパードライに向く飲み方・シーン

スーパードライはキレのある辛口であるため、ガツンとした飲みごたえを求める場面で選びましょう。特に次のようなシーンでその価値を発揮します。

• 濃い味付けの料理や揚げ物、焼き肉など、食欲をそそるメニューと一緒に楽しむとき
• スポーツ観戦や暑い夏場など、喉の渇きを瞬時に潤したいとき
• 翌朝に備えて飲み会を一気に盛り上げたいなど、ビール本来の爽快感を重視する場合

強めの炭酸とシャープな後味は、特に肉料理やスパイシーな料理などと非常に相性が良く、ビールで後味をサッパリさせたいときに重宝します。缶から直接でもおいしいですが、注いだときのクリーミーな泡もスーパードライならではの楽しみ方です。

選び方のポイント

最終的には好みの味わいと飲むシーンで選ぶことになります。ポイントは以下の通りです。

• まろやかな味・飲みやすさを重視するならマルエフ
• シャープなキレ・爽快感を優先するならスーパードライ
• カロリー控えめに選びたい場合はアルコール度数4.5％のマルエフ
• ライトユーザーや家族で楽しむならまろやかなマルエフ、晩酌の定番やBBQならスーパードライ

どちらも甲乙つけがたいビールですが、上記のようなポイントを参考にすると選びやすくなります。両者を飲み比べてみて、自分の「うまい！」と感じるほうを基準にするのも良いでしょう。

まとめ

以上のように、マルエフとスーパードライは同じアサヒビールから登場しているビールでありながら、味わいやストーリーに異なる特徴があります。マルエフは「復活の生ビール」として1980年代の味を受け継ぎ、まろやかで優しい味わいが特徴です。ゆったりと楽しめるビールを求めるシーンに適しています。一方スーパードライは誕生当初から辛口の世界を切り開いてきたビールで、シャープでキレ味のある飲みごたえが魅力です。食中酒としても人気が高く、幅広い層に親しまれています。

どちらもそれぞれの良さを持つ人気商品ですので、この記事で取り上げた違いを参考にしてシーンや好みに合った方を選んでみてください。マルエフのまろやかさとスーパードライのキレの違いを楽しみながら、自分にぴったりの一杯を見つけましょう。